Argentina
情熱のアルゼンチン
日本からヨーロッパ経由でアルゼンチンへ。
降り立ったその先には、心震える、言葉では言い尽くせない感動が待っていた。
すべてが、生きてる。力強い生命力が溢れてる。
情熱と、愛情と。
Winery
僕はアルゼンチンで、日々、昼夜それはたくさんのワイナリーを巡った。実際どうしても現地で、見てみたかった。確かめたかった。
アルゼンチンがワインを生産している他国と違うのは、ワイナリー同士が近距離で並んでいることはなく、広大な国土北から南にかけ、ゆうに数千キロにわたり多数分散しているところ。それぞれの地域、ワイナリーにそれぞれの個性があり、バラエティーに富んだ大きく異なった特徴のワインを、すごく情熱を注ぎながら生産している。僕が巡ったワイナリーで実際たくさんの従業員やオーナー、生産者と直接話ができたんだけれど、彼らのおいしいワインを作ろうとするその熱意は、心を強く打たれた。どのワイナリーも、オーナーは高い誇りと情熱、美意識を持って自ら挑んでる。だからきっと自分好みのおいしいワインが見つかると思う。特に印象的だったのは、ワイナリーのオーナー、セバスチャンの言葉。自分が考える、おいしいワイン作りにとって一番大切なのは何?という僕の質問に満面の笑みでこう言った。「この青い空だよ!」
セバスチャンはオーナーだけれど、よりよいワイン作りに情熱を燃やしていて毎年欠かさず、世界各国の有名ワイン産地に自ら出向いて、そこのワイナリーで1ヶ月間実際研修として実際働いているという。そこで学んだ良いところをすぐ自分のワイナリーで試すため。できるだけ昔の伝統製法に近づけようといろいろ工夫していた。ワイン作りのプロ中のプロだから、専門的なことはわかっているし、専門的な答えはいくらでもできるはずなのに。「この青い空がなければ、僕たちは何もできない!あとは人なんだ。うちの従業員は最高だよ!」って胸を張っていたのが忘れられない。
ワインツーリズムと呼ばれる、ワイナリーをじっくり見学し、ワインの醸造はもちろん、緑あふれる広大なその風景をも楽しみ、実際テイスティングや食事などを楽しむことができるツアーが最近アルゼンチンでも人気。気軽に現地で日帰りのツアーを用意している旅行会社やワイナリーも多いから、ぜひチェックしたい。情報は日々更新されているゆえ、自分が行くタイミングでフレッシュな情報をネットでチェックするのが一番。
ワインを味わうことは、ワインそのものはもちろん、その原料のぶどうを育てている土地や風土、自然、人すべてを味わうことでもある。ワインの生まれ故郷を巡る楽しみは、おいしいものはもちろん、まさに全身で文化そのものをも味わえるところにある。
アルゼンチンでのワインツーリズムは、作り手の熱い想いにも触れられる、すばらしいチャンスだと思う。
Food & Wine
ワインと食事。
アルゼンチンではやっぱり肉料理がおいしい。アルゼンチンのオリーブオイルとハーブなどで作る伝統ソース、チュミチョリを添えたステーキはもちろん、アルゼンチン料理といえば、エンパナーダなどがとても有名。小麦粉の生地でひき肉のような具を包み、オーブンで焼き上げたり、または揚げたものなんだけど、各都市ごとに中身の具が違って食べ比べるのも楽しい。パンでもないし、ピロシキや餃子なんかとも全然違う。アルゼンチンならではのそのおいしさが堪能できるから、絶対試してみてほしい。
アルゼンチンでの食事は日本食と比べると、結構塩気がしっかりしている。だからやっぱりワインがどんどん欲しくなる。
僕はそれこそ、一流と呼ばれるホテルのアルゼンチン料理から庶民的なレストラン、バーベキューの店までアルゼンチンでたくさん食べ歩いてた。どのお店でもワインと食事の出会いと、またそこにいる人たちとの出会いをとことん、味わうことができたんだ。ワインと食事は、いろんな意味で、やはり最高のコンビネーションだ。
アルゼンチンでは、オリーブオイルがおいしかった。現地で栽培してるフレッシュなオリーブをそのまま絞って、絞りたてを飲ませてもらったりした。僕はオイルに対するこだわりも知識ももちろんあるけど、アルゼンチンのオリーブオイルは素直に感激した。よく料理雑誌なんかで、オリーブオイルはオイルというよりは、オリーブから絞られたジュースだ、なんて言うでしょう?でもね、僕は全くそうは思わなくて、やっぱりオイルはオイルなんだ。ジュース、なんて表現するには「弱すぎる」から。実際本当にクオリティの高い、絞りたての酸化してないオイルを飲むとね、衝撃的なんだ。実際口に広がる香りも、刺激もすごいから。決してジュースだ、なんていえるような飲みやすさはないよ。いい意味での青臭さや、あの舌にいい意味で刺さる刺激やうまみは、飲みやすいとかじゃなくて、どんどん飲みたくなる。味わいたくなる。結果として飲みやすい、と表現はできるけど。オイルじゃなくてジュースだ、なんてさらりと言えるものじゃないし、そんなのアルゼンチンのオリーブオイルの表現としては物足りないし、そぐわないと思う。このオリーブオイルで料理したら、力強いワインと相性も抜群だ
Wine & Sweets
ワインとスイーツ。特にデザートワインというわけでなく、スイーツとワインを楽しむのも楽しい。
赤ワインとショコラ系、白とフルーツ系のスイーツはとても相性がいい。
今回の旅では、庶民的なデザートと、世界各国の一流のパティシェたちによるすばらしいスイーツを堪能できたんだ。今回の旅の目的はスイーツでなくワイン。けれどその相性は誰かにすぐすすめたくなるくらい感動的だった。
アルゼンチンを旅して以来、僕はデザートとワインを一緒にいただくことが増えた。自分で焼いたケーキを友達と食べるときも、ワインに合わせたりして。ワインに合わせたくてケーキのレシピを考えることもある。
丁寧に作られたケーキと、おいしいワイン。そのあとで追いかける強めのカフェ。今は日本で僕の日常のスタイルになった。旅の醍醐味って旅して終わるのではなく、旅して始まることだと僕は思う。いいと感じたこと、新しいことをどんどん自分の日常へ。
スイーツとワイン。なんだかこじゃれて聞こえるかもしれないけど、もっと普通で、もっと身近でいいと思う。僕にとって旅は非日常ではなく、自分の暮らしの延長線にあるものだと考えているから。
アルゼンチンでは、普通の日常が、力強かったんだ。
この国に訪れて、地に足をつけることの大切さを改めて感じた。
日々の忙しさにあおられて、時に自分が宙に浮いているような気持ちになることがあるけれど。アルゼンチンの土地に立ち、空気を感じ、人と触れ合う中でその熱い体温を全身で感じ取ることができた今回の旅。
情熱と、愛情と。その強い情が、アルゼンチンの魂。生きることを、そのすべてを等身大で楽しんでいるかのようで。おいしいワインも、その情熱と環境あってこそ。
Outroduction
情熱のアルゼンチン。
ぜひ訪れてみてください。
新しい感動に、新しいご自身に、きっと出会えることでしょう。
J Noritsugu
Special thanks:
- Argentina National institute of Tourism promotion.
- Argentina Embassy.