蚊取り線香の香りを、出張先の宿でふっと感じた時、僕の記憶は子供の頃へ。
かすかな蚊取り線香の香りが僕を一瞬でタイムトリップさせたのは、数少ない夏の思い出。
子供の頃の僕は、勉強嫌い。それでも何者にでもなれると勝手に思っていたから、夏休みは宿題や課題は全く興味なく8月30日、31日になってからやっつけで済ませる、という子供だった。その時迷うのは毎日の天気記入シート見たいなページ。40日くらい前の天気なんて覚えてないさ。小さくてか弱くて可愛い僕はテキトーに書いた。知らんがな、と思いながら。
それはそうと、暑い暑いもお盆まで。昔はそう言ったもんですが。それじゃ今じゃ9月後半でもまだ暑い。
でもね、僕はもうとっくに秋冬に向かってる。理由は夏が好きではないから、ただそれだけ。とっとと夏を終わらせたいのだ。でも9月といえば、僕にとっては魔の9月。9月はろくな思い出がない。Pavelが亡くなったのも9月だ。あの時の悔しさは一生忘れない。
今年の9月も、もう来る前から僕の人生でとても大きな悲しいことがあることが決まってる。うんもう、決まってる。その日は来る。胸を抉られるあの痛みをまた抱えるのかと思うと、正直、しんどい。
僕がしんどいのはその痛みを逃せないまま前進しないといけないことにもある。せめてしっかり食べていこ。年々食欲が減るとか言うけど僕は全く落ちてない。どんなに悲しくてもお腹空く。うん、秋冬は鍋がいいわ。
さて、それはそうと、秋冬といえばおしゃれができるという楽しい話に変えると、先日アパレルの方から「ダウンジャケットやダウンコートは終わってます。全然売れない」という話を聞いた。「昔は多少無理してでも高級ブランドのダウンを、という人はたくさんいたけど、今はそもそもダウンを着る人が随分減った。冬はスーパーでくらいしか着てる人もう見ないでしょう?」だって。
確かにもうダウン熱は冷めたみたいね。全国民ダウンみたいな年もあったからね。僕は近年はずっとエコファー。リアルファーじゃなくても十分暖かいしもうこれでいいのさ。リアルファーの方がむしろ今どき誰も着ないかも。
そうだ、この際、ぶっちゃけた話をするとね。
洋服の流行なんて、そもそも洋服も僕の専門である美容健康業界も同じなのだけど。よく言われる通り「流行」はあくまで業界が仕掛けてるだけさ。全然、売るための戦略。それがトレンド、流行。業界が売りたいの。だから作るの。
だからね、その流行に乗るもよし。乗らないもよし。流行の服着てないからダサいわけじゃない。流行の服を着ないとおしゃれじゃない、なんてわけじゃない。僕なんざ10年以上前のジャケットだろうがコートだろうが今でも毎年着てるさ。
美容成分だってそう。どっかの国で流行ってるから、って僕にはどーでもいいこと。もう一回言うけど、どうでもええわ。
大事なのは自分が決めること。流行なんて、自分が乗るか乗らないか決めるだけのもの。似合わんのに、いらんのに乗る必要はない。流行してるイコールいいものである、訳ではないのだ。流行してるイコール業界の戦略なのだから。
でも流行が悪いわけじゃなく、流行の楽しさ、がある。だから流行ってるものは興味あればチェックして、いいものは乗ればいい。
ただそれだけ。流行が正義でもなければ強制でもあるまいし。
僕は流行を作りたいわけじゃない。ただいいものを、本物を、次の世代へ。この日本に残してゆきたい。
代理店の人に言われた言葉で「ジェイさんは30年もずっと流行を作ってきたから」というのがあるけど。作ってないし。僕の商品はどれも伝統に裏付けられたものを今の時代にそってアップデートした最進化形であるからさ。伝統よ、伝統。
僕本人は、伝統を守るためにも伝統を進化させ続けないといけないというこだわりがあるのさ。
僕が作るのは流行ではなく、伝統さ。
僕がやってると新しく見えるけど、冷静に見れば高麗人参もビタミンCも別に流行関係なく存在し続けてきた確かなものたちよ。
僕は、蚊取り線香が好き。香取マットやリキッドや電気が出てきたってびくともしない。やっぱり最強蚊取り線香。
子供の頃の数少ない僕の思い出までずっと一緒に運び続けてくれている。
蚊取り線香の香りと僕の夏の思い出はもうずっとずっと繋がっているんだ。
