シジエム サンス パル カルティエ イベント

京都のジュエリーイベントから戻りました。

今回は、京セラ美術館にて400点にも及ぶ秘蔵コレクションを拝見したり、社長さんの講演などもあり、充実した内容でした。イベントが終わってからも今度はジェイトワの香りを探すのに駆け回ったり、新しい食材も見つけたり充実の3日間でした。では、レポートしますね。

まず、京都駅に到着。駅を歩いてたらおそらく関西のお客様たちでしょうか、振り返ってくださったり、目をまん丸にして驚いたり、東京よりもリアクションが大きいですが不思議と誰も話しかけてはくれません。アシスタントが不思議がっていましたが、僕は一言「私きっと怖いのさ」

今回、ジュエリーイベントに伺うので、基本の正装の黒、ですが服装はそれに合わせてキラキラのスパンコールジャケットにシルクのラインが入ったドレスパンツ。ブランドさんのイベントはご招待いただいた場合、一番悩ましいのは服装ですが、その場にふさわしい服装をするのは礼儀です。招待した側も、された側も、リスペクト、が大事です。今回の衣装テーマは「私はジュエリー」

今回同行させたアシスタントA(もう一人はアトリエのお留守番)のお気に入りのスーツケース、例の僕が一人で出張の際は絶対に持たせてくれない(絶対僕だと傷つけたり汚すから、だそうです)スーツケースに手を置こうとしただけで怒られたので触ってません。だからこの手が浮いたポーズ。スーツケースはオブジェかよ?

やれやれ。

さて、今回ご招待いただいたのは皆様ご存知、フランスの名門ジュエラーのカルティエさん。

はい、お手本のような、看板前でポーズですね。余談ですがよくセレブリティが会場でカメラマンにポーズとりますよね?あれはね、修正ができないので、撮られる場合のこつ、があるんです。女性なら高いヒールでロングドレスで足元を隠して足長に簡単に見せられますが男性の場合は、ハイヒールは難しい。だからポーズの際、片足を前に出して、後ろの足との長さに落差をつけることで視覚的に足長に見せるわけです。ほら僕の足の長さは実際は後ろ足の長さでも、前に出した方が遠近法で長く見えるため、人はその長さを足の長さ、と認識してしまうわけですね。セレブリティの場合はあらかじめブランド側からそのブランドの洋服やジュエリーが貸し出されますがそれらをいかにちゃんと見せるか、がポイントですから、それらがさりげなく写り込むようなポーズをとるわけですね(別にカメラマンはいないけど 笑笑)背景のブランドロゴがはっきりと写ること。そのブランドの商品がはっきりと写ること。これを押さえた上で、いかにスタイル良く撮られるか、がセレブリティたちの腕の見せ所なんですね。大変ね。

入り口はこんな感じ。

後ろの背景は、今は緑ですが、これ色がどんどん変わるんです。綺麗でした。

さて、カルティエといえばフランスのジュエラーですが、日本法人の社長さんが日本人の女性で、京都大学をでたそうで、京都にゆかりのある方だったのですね。

彼女の講演会のお話ですごーく印象的で良かったのは、文化的発展において必要なことは3つ、だと。

1 美意識。確固たる美学が必要。

2 それを受け入れる社会。 その美意識を受け入れられるような成熟し平和な社会が必要。

3 美意識を実際支える「職人」

この3つがどうしてもブランドの存続、発展のためにも必要だと。とても印象的でした。

僕の商品も、まさにそうだなぁ、この通りやん、と思いながら聞いていたので。この3つ、僕にはとっても響きました。衣装のお着物も、つけられていた自社のジュエリーも素晴らしくて。

さて、お待たせしました。ジュエリーの話でしたね。

ジュエリーはもともと、男性のもの、だったそうです(諸説あります)でも今は、性別を超えて、たくさんの人に愛されています。別になくて困る、わけではないのに、大人気。それはアートだからです。

人は美しいものを美しいと感じたり、愛でたりするにたけていると言われます。また人が人らしくあるために美しいものや、美を愛でる心は必要です。

また同時に、ジュエリーは持ち歩ける「資産」でもあるのです。いざとなったらそれをつけて逃げる、お金にかえる、などは場合によっては可能です。また人によっては親から子に引き継ぐ宝物でもあるでしょう。そして、人によってはそれが「お守り」だったりラッキーアイテムだったりするでしょう。僕はそちらの考え方の方が好きです。大事にする宝物、と言う考え。

僕にとってジュエリーは持ち歩ける資産などではありません。ただただ「美しくあるべきもの」です。

ジュエリーって、もちろん石もピンキリですがぶっちゃけ一番高いのは地金、だと言われます。だから安く売るために中を空洞にしてグラム軽くしてたり地金をケチって細めに仕上げていたり、少ない分量の金をぺったんこ、にプレスして大きくみせているような涙ぐましいものは嫌いです。

美しくあるためには、職人がきちんとした地金や石を、きちんと仕上げることは絶対条件です。

でないと美は生まれず、中途半端なものが生まれてきます。中途半端で売れなくとも、食品と違ってジュエリーは石を外し、地金溶かしてまた作る、ことができるので、在庫的にも割と平気だそうです。

それらの行為も、美しくはありません。

僕がジュエリーをほとんど持っていないのは、買うならよっぽどのものじゃないと嫌だから。そのよっぽどのものが買えないのなら、別に持っていなくても僕はいいんです。

だから僕は確固たる美意識を貫いた今回の展示は心に響きました。そしてジュエリーは色の組み合わせなどが非常に勉強になります。

ブランドモチーフ代表の一つ、パンテールが美しい。

石の話をすると、これはもう、日本では圧倒的に「ダイヤモンド」らしいですが、ヨーロッパでは色石が大変な人気です。僕もパリに住むまでは、ダイヤモンドくらいじゃない?というタイプだったのですが、実際、パリに住んでみると美しいジュエラーの作品をウインドー越しに眺めるとどんどんどんどん色石の魅力にはまりました。

色石にはなんとも言えない「ロマン」があります。地球が作り上げた、まさに奇跡。それに人の手が多少加わると、さらにその奇跡が高まります。その地球と人が育んだ美、というのが僕を強く惹きつけます。って、ここまで言うといて僕は宝石はほとんど持ってません。すぐに無くすし、所有しなくても見て満足してしまうので。僕はアクアマリンやサファイヤ、青系の石が特にたまらなく好きです。

今回アシスタントが撮った写真はほとんどダイヤモンドだったのですが、実際には色石が圧倒的な存在感を放っていました。ただダイヤはやっぱり綺麗でしたよ。

うんこれは確かに資産やわ。笑笑

ちなみにうちの旦那さんがフランスで始めたアクセサリービジネスですが、好調のようで日々何個売れた!と喜びの声が。

最初に売れたのは、このブレスレット。カルティエの作品の後で載せるのもどうかと思いますが。

記念すべき最初の一本ですね。

カルティエの数億円のジュエリーも素敵ですが、ミザエルの作る1万円2万円のものも同じくらい僕には素敵です。

見たときに、身につけたときに心が本当にときめくか。ブランドや値段ではない。

それだけははっきりと言えます。

だから自分の好きな色、石、デザイン、サイズ感に徹底してこだわって、自分だけの宝物を手にする喜びを味わうこと。買えない、ならば、買わなくていいから、作品をアートとして味わうこと。自分の頭に、心に、その美しきエネルギーを残すことです。

高いブランドジュエリーを値段だけ、とバカにする方もいらっしゃいますが、職人に極めて失礼です。それだけの値段がする理由がその背景にあったりするわけですし、消費者もバカじゃない。その価値に見合わないものは今時一つも売れません。

だから厳しい目線で、しっかりとフラットで清らかな気持ちで見ること、自分で判断すること、は常に必要。

「高くて買えないけど、でも綺麗ね素敵ね」 人が一生懸命作ったものを、そう愛でる気持ちだけは、忘れたくはありません。

花の美しさを愛でると同じです。

美しいものを、けなそう、とする人は残念ながら一定数、いらっしゃいます。

幸せな人を、けなそう、とする人もいます。

何とかして人を落とそう、とするのは「嫉妬心」と「自分自身への不満」から来るものだと僕は思います。そう、気の毒ですね。きっと幸せではないのでしょう。

僕はそのステージには絶対に行かない。どんな状況になっても、美しいものは美しいと思うし、幸せな人を見たら自分も幸せに感じようとするからです。

美しい宝石、職人の技を十分に堪能できた今回のカルティエのイベント、シジエム サンス パー カルティエ、は京都で開かれました。

第六感を目覚めさせる、と言うのをテーマに掲げられ、京都が持つ「美意識」の中で見事に重なり、素晴らしいイベントとなりました。

僕は全くカルティエの上顧客というわけではないのですが、今回ラッキーにもご招待をいただけて、幸いでした。僕も少しずつまた、気に入ったジュエリーを見つけていければいいなぁと思います。

20代、30代で思いきって買ったジュエリーは全て手元にはもうありません。無くすからです。

衣装を1日なんども私服と着替える際にどこかにいってしまったり、手洗いの際に外してそのまま忘れたり、タクシー降りたら「あれ?ない」だったり。

奇跡的に残ってるのは、10代の頃母親に「困ったら売って電車賃にして田舎に帰って来なさい」と言われたダイヤのリングだけです。

会場を離れ、ホテルの屋上へ。

カフェを頼んで、僕の目線はテーブルの上のランプに。

あれ、これうちのアトリエにぴったりやん。ちょうどライトを探してたんさ。これこれ、これがええやん。

ネットでアシスタントが調べて、ネット注文可能と判明。

「一つ注文しといて」

「お店で買ってください。東京戻ったら連れてゆきます」

「なんで?重いし、ネットでいいじゃん」

「ポイント貯まるんです、お店だと。」

「・・・・・」

「ポイント大事!」

あんたのポイントカードやん。

やれやれ。

今回もうちのアシスタント、初めてのカルティエイベント参加で舞い上がってました。

原宿の古着屋さんで1000円でカルティエのシルクスカーフ(本物か偽物かは謎)を買い、白いシャツをユニクロで買い、嬉々としてそれを巻いてついて来ました。

やれやれ。

そのボタンダウンみたいなシャツはまるで学生のシャツで、フォーマルシャツではないんだけどね。

いろんなことをまだまた教えないとダメなんですね。

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