Dear Pavel

パベル。

君がこの世界からいなくなってもう4年。

それとも、まだ4年。

僕はこの先、何度こうして君のことを振り返るだろうか、と思うと実はそんなに悲しくない。

だって君のことを考えると、幸せな記憶で僕は満たされるから。

君はこの世を離れてもこうして人を幸せにする天才。

プラハはどう?僕は随分帰ってないんだ。でもまた帰れるようになったらすぐに帰るよ。もう寒くなっただろうね。

プラハの朝は早い。みんな朝5時とかに起きて、もう6時には出勤とかしてるもんね。プラハの朝は早い。それは暮らし始めてすぐにわかったことだけど。そしてプラハの夜は長い。それもすぐにわかったよ。これは君のおかげでね。

いろんなところに行ったね。プラハの歴史的な場所や名所はもちろん、カフェやレストラン、バーにクラブ。遊園地に行ったり、プラハを飛び出して蚤の市にも行ったよね。日帰りでドイツのベルリンとか、クレイジーなことも君はノリノリだったね。

でも僕が一番好きだったのは、夜遅くまで君のアパートでロシアの友達みんなで集まってなんでもない時間を過ごしたこと。時に飲んで騒いでパーティー、DJの友達まで機材を全部持ち込んで盛大に騒いだこともあったっけ。また時にみんなで映画鑑賞。君はアーティスティックな映画が好きで、僕はもっぱらマーベルとかハリーポッター。深夜2時過ぎまで君の家にいて、そこから僕は旧市街地の僕のアパートに戻ったっけ。

30分くらい、暗い夜道を歩いて帰ったり。君がタクシーを呼んでくれて、先に支払いまで済ませてくれて僕を車に乗せることもしょっちゅうだった。

車で帰るとね、夜の街を駆け抜ける感覚が本当に素敵だった。もはや他の車がない時間だったから、車はスピードを上げて、あの歴史的な古い街並みを駆け抜けるんだ。暗闇に飛び込むかのような感覚と、静かに響く座席の感触、それに少しタバコ臭い車の匂いが重なって、暖かなオレンジのゆるい街灯が次々と流れ吸い込まれてく。幻想的な街で冷たい夜の空気の中を進む僕は、ドキドキしてた。中世にこのままタイムスリップしてもいいかななんて。

プラハには700年以上前の建物が当たり前に立っていて。パリ同様、何もかもが美しかった。歴史の厚み、を肌で感じられたから。人々の喜怒哀楽を僕は全身で吸い込んだ。

タクシー降りると正にそこは中世だったけど。あかりもなくて、真っ暗で、石畳の階段を探りながら登って重いドアを開けて、中庭へ。電灯が切れても誰も何も言わないのかよ、なんて思いながら、結構ホラーな中庭を抜けて僕の部屋へ。

今日はうまく鍵が開きますように、なんて祈りながら、寒さで手が悴む中、古い鍵を回した。

開かない時は本当に開かないから、撃沈する夜もあったっけ。

パベル。

4年が経ったんだ。

僕はあの時より、少し若返ってるかも。気持ちも身体も。

僕の中での君は一向に歳をとらないから、僕も負けじと追いかける。

パベル。

もう4年でも、まだ4年でも構わない。

君を忘れることはない。

きっと40年後も、僕はまだ同じことを言ってるだろう。

君が与えてくれた愛は、持続力半端ない。

また愛は分ければ分ける程、与えれば与えるほど、どんどん大きくなるようで。

お金は使えば減るけれど、愛は使えば増えるんだ。

君が僕に教えてくれたこと。

4年の月日は、僕を完璧に愛に生きる男に変えた。

だから僕は無敵。

誰もそれを奪えないから。もう無敵。

パベル。

僕が人生を終える時、迎えに来てね。

きっと君が来るだろうから、僕はおしゃれして待ってる。

どんなに歳をとっても、胸を張れる仕事をして、ヨボヨボのシワシワにはならないで、君を待ってる。

迎えに来てね。

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