買いません。
僕はあまり物を買わない方です。一度買ったらずっとそれを使うから延々。擦り切れるまで。
だから逆に言うとそれだけの使用に耐えうる物だけを買っている感じです。
当然ですが安物は買わないです。
安物が家にないからといって、どんだけセレブじゃ、と言う話ではありません。
安物を買わないから、逆に言えば無駄使いしていない。意外に堅実。
ペンを買いに百均を回って気がついたら他にも色々買ってた、なんて経験もないです。その百均で色々買った分で文房具屋さんで1本のペンを買うでしょう。
僕は安く売るために安く作られたものが苦手です。それが安物。
いいものを安く売る、と言うのとはまた話が違います。
別に百均が悪い訳ではないです。売ってるものによるので全部が全部安物じゃない。
大事なのは「選ぶこと」
本気で選んでいたら、実は世の中にはそれほど選択肢はありません。だから突き詰めて行けばそれを買ったらもうあとは「買わない」と言うことに。
結果、僕は買わない。
最低限必要なものはすでに持っているからです。
ものを買うときは、そのとき自分が手に入れられうる「最高のもの」だけを買うこと。
値段ではなく、本気で自分がそれ好きかどうか、と言うのも大事です。
えてしていいものはそれなりの値段がします。高い。
でも何度もそのあと買い換えることを考えたらむしろいいものは結局安い、と言う場合が多々あります。
スーツケース、はじめに使っていたのがそれなりのものでした。こだわり隊長のくせに、この際、それなりでいいと判断したのは、海外での空港でのスーツケースの激しい扱われ方をよく知っていたから。すごい高さから放り投げつけたりはもはや当然のことです。だからどうせ壊れるだろうと言うことで買ったものでした。案の定、ただ一度のフライトで破損。新しく買い換えて二回のフライトでまたすぐ破損。
物の神様が僕に「安物など使うな」と言ってるようで。
迷わずいいスーツケースを買いました。ヨーロッパ製の皆さまご存知かなりの値段のするものです。
するともう10年以上使ってるけど一度も壊れない。パリにアトリエを移し2週間に1回仕事でヨーロッパと日本を移動するような生活をしていた僕のスーツケースですよ?まだ壊れてない。
フライトの後見るも無残なボッコボッコになって、ジップ部分がめくれ上がってよれて戻ってきて、荷物のクレームに行ったけど「鉄製のスーツケースじゃないから、へこみは保証できない」と言われて。でもなんとクローゼットの中で2日後には元の形に自ら戻ってて。形状記憶かよ、みたいな。以来凹んでも気にせずほっとけば全然普通に戻ってるし。
10年以上使ったからもう1年いくら?1回のフライトでいくら?むしろ得したくらい。
これを買っていなかったら一体この10年に何度スーツケースを買い換える羽目になってたことやら。またその安物のスーツケースがクローゼットの中にあるのを見るたびにイライラすることやら。
かなり値段のするスーツケースは見た目も美しく、置いていても問題ない上に、どんだけ使ってもへこたれません。
この話は一つの例ですが、わかりやすく言えばそう言うことです。
高い物と言う表現はしません。僕の中で、安物の対局は「本物」です。
本物しか買わない。安いみりん風調味料を買わず値段はしても本みりんしか買わない感覚。
この小さな感覚を、どんどんと自分の生活の中で磨いて欲しいと一人の人間として、また商品を提案する側のプロとしても、僕はいつも思っています。
昔、まだ雑誌の仕事を受けていた頃、ある女性誌で「節約」をテーマに仕事依頼がありました。もっとも節約からほど遠いイメージの料理研究家だった僕にその仕事をふるなんて珍しいなと思って企画内容を確認しました。
案の定、人気料理研究家たちが安い食材を使って安い料理を作る、と言うことでしたが。
担当編集者はスーパーの安い食材のリストまで持ってきてくれました。話を聞くと、十円安いスーパーを求めて自転車で買い回る読者さんも結構いるそうでした。
それを聞いて僕には無理と判断。そもそもアメリカ産の遺伝子組み換え大豆を使った豆腐より十円高くても日本産の遺伝子組み換えしてない日本産大豆使用の豆腐を迷わず買うような料理研究家なので。僕ではその雑誌の読者さんに益になるご提案が難しい、と。雑誌社としても読者のカラーに沿わない料理研究家なんて使わないほうがいいはずです。
アメリカ産の遺伝子組み換え大豆でいいと言う方ももちろんいらっしゃるでしょう。
ただ僕は人としてもプロとしても
日本産の遺伝子組み換えでない大豆じゃなきゃ絶対に「ダメ」なんです。
アメリカ産の豆の安い豆腐だったら最初から僕は「買いません」
まあ、実際には今時アメリカ産の大豆使用の豆腐を探すほうが至難の技だとは思いますけど、あくまでたとえ話です。
「買わない」勇気を持って欲しいと思います。
ものは買わない。
これぞ、って物をしっかりと買いたいからです。そうゆうものって値段がする場合が多いので、安物の銭失いなどしてる余裕は僕にはありません。
またそのこれぞ、っていう逸品を買えば、使って嬉しいだけでなく、満足感で心も満たされるからです。
だから買わない。
一度買ったら、擦り切れるまで付き合うから。
中途半端なものはいらないのです。そんなものにスペース取られるのも嫌です。それならいっそ家のスペースは空けておきます。いつか出会うとびっきりのものが入れるように。普段無駄使いしてないからもし値段もとびきりでも、その値段に躊躇せず頑張ります。とか言いながら大抵そんなにしないですけど。最近の僕の暮らしの逸品はファミマで売っているタオルでしたし。
もし自分の周りに「これ微妙」って思うものがあるのなら、それこそ一気に「断捨離」して構いません。
次買うときは自分にとって最高のものだけ、と心に決めて。
断捨離した後急に必要で次また間に合わせで買う、なんてことだけは繰り返さないように肝に命じて。
中途半端なものは、あなたの人生すら中途半端にしてしまうから。
そんなものは「買いません」
いいものを買うから。
お金も人も物も、自分の人生に関わるもの全て、大事にしたいのです。