パリはホームレスの方がたくさん。ややこしいのは、エセホームレス、がいること。
だからパリの友達は、ホームレスなんてうそ、施しをあげなくてもいい、と皆言い切る。実際、歩けないとビッコ引いてお金を求めていて、20分くらいたったら、突然さっさと早足でその場を離れていったりする人もいるし、お腹が空いた、と紙を掲げてるから、食べ物を買って渡すと「違う!金くれ!」と怒る人もいる。
それでも僕は、騙されてもいいから渡そうと思う方で。いつも日本を離れる際は現金を少し、持っていく。
今回は、17歳の子が、うちの近所でうずくまっていた。なぜ17歳かわかったかと言うと、話をしたから。
最初は、通りがかりで急いでて、数ユーロ渡して、僕はその場を去ったのだけどあんな若いのになんで??と言う疑問がふつふつと。
数時間後に戻ったけど、いなかった。
その次の日も次の日も、チェックしたけどいない。どこで寝たんだろうとか心配にもなる寒いのに。
そしてついに再び彼に遭遇。その時は時間があったので僕も座り込んでじっくりと話を聞いた。
17歳で、ブルガリアの近くの小さな国からお母さんと一緒にフランスに来そう。もちろん不法入国。今はお母さんとホテルで(もちろん安いホテル)で寝てるそうで。仕事もないし、お金もないからいつも物乞いをしてると。お母さんは働いてる、と言ったけど、もちろん不法でおそらく男性を相手にする仕事のようだ。僕は絶句した。17歳でこの現実。僕が東京に飛び出してきた頃と変わらない年齢。いろんな思いが重なった。
話しかけてると嬉しそうに笑い、僕は中国語、少し喋るよ!と僕に言ったけど、中国人じゃないわ!と心で突っ込みつつつ、そのあどけなさに余計に辛くなる。彼が喋れる言葉はニイハオだけだったけど。
少しまとまったお金を渡して「どうか幸運を!」と言って僕は別れた。
優しい顔で笑う彼だった。これからフランスで、公的書類もなしにどうやって生き抜いてくのかを考えると本当に胸が痛くなる。
何よりも冷たい道に座り込んでずっと「助けてください」と紙を握りしめてるあの姿が心から離れず。
僕は助けてください、の声にはいつも反応するようにしてる。
もちろん「20セント、持ってる?」とか言って近づいてきて、それくらいだったら、と財布を出した途端その財布を掴んで逃げてくような輩には注意してるけど。
助けてください。
人はある時期、本当にその言葉が必要な時があるもの。
助けて。
少しでも何かの助けになれるような人間でいたいとすごく思う。
彼の優しい笑顔は、痛いくらいに僕の胸に突き刺さってて。
大丈夫?って言葉は、どこにいても大事にしたいと思う。
そして、笑顔で人に接することも本当に大事にしたいと思う。
ホームレスの問題は、どの国でも深刻。
大きなことは政治家じゃあるまいしできないけど目の前のことには何かできればいいなと思う。