彼は順調に南米を下っています。サラマという新しい相棒も引き連れて。でも頼むからそんな小さなサラマを連れて高い山にはまだ登るな。
彼は冒険家なので、冒険家というと響き良いですが、無鉄砲、というか、変なところで大胆というか。怖いもの知らずというか。
ここから先は、サラマに話してもらいます。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
どうも、サラマです。
旦那様とわたちは順調に旅を続けておりますうふ。日本にいる旦那様の旦那様とは、直接会ったことはまだないものの、大きな愛を日々日本から届けてくれています。
でも最近、旦那様たちはわたちのために喧嘩をしました。日本にいる旦那様が「日本にサラマを連れてきてはいけない」と言ったから。
何ムカつく、わたちに嫉妬してるのと思ったのだけど、理由はわたちがまだ小さいし、アルゼンチンから日本への40時間以上ものろくに水ももらえないような飛行時間にわたちが耐えられるわけがない、と。なるほどなるほど。やっぱりわたちを愛してるのね。
でもこちらの旦那様は「大丈夫大丈夫。なんとかなる」って。「大丈夫な訳ないだろう」って言い合いになって。「俺らの子供だから大丈夫さ」って旦那様。「生物学的には父親じゃないやん。僕はサラマを産んだ記憶ない!」って。
コントみたいな喧嘩してたわ。
で、結局アルゼンチンに着くまでに南米で必ず里親を探すと約束してたの。旦那様と離れるのは嫌だけれど、確かに40時間も飛行機の貨物室のような場所に閉じ込められるのはいやね。日本の旦那様に会えないのも悲しいけど、日本のイケメン猫に会えないのも悲しいけど、やっぱりこちらでわたちは生きていくのがいいみたい。わたちと別れるのはとても辛いはずの旦那様。でも最後に「日本で三ヶ月もあるから、絶対妊娠させてやる」って旦那さんが日本の旦那様に言ってたの。「仕事が忙しくて妊娠はできない!」って答えてたけど。
え?そうゆう問題???
わたちの男たちって。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::