さて、質問回答ですね。今日はパリのオシャレの質問たちに対する回答です。
1 パリジェンヌに憧れるけど、実際どうなの?
なんども書いてますが雑誌に騙されないでね。あれは作り物の世界です。編集者が現地のコーディネーターに頼んで、業界関係者を集め、撮影して「街角スナップ」としてるだけですから。だから職業が「弁護士」「ファッション関係者」とか、お金持ってるぞー系かオシャレが仕事系の女性がいつもスナップされていることに気がついた人も多いはずです。その中に申し訳程度に「学生」を混ぜてリアル感演出、みたいな。
パリジェンヌなんて、生活がカツカツなんです。東京の比でないほどの高い家賃と物価で、給料は安いので、皆生きてくのに必死。フランスでは今その労働者層の不満が爆発してデモにもなってますが、特にパリで生きてくのなんか大変なんです。どこにシャネルのバッグにセリーヌのコートの女性がいるというのでしょう?いますけど、それはロシア人や海外からの観光客です。中国からの観光客はグッチのアウターにシャネルのバッグ、ルイヴィトンのスニーカーで、ブランドの紙袋下げてと、大変なことになってます。パリジェンヌは、ザラかマンゴー、それか古着。バッグもどこでもないようなバッグまたは本人は「おばあちゃんからもらったの」「ママのお古よ」と言うけど実際はネットEbayで必死に探して安い価格で落札したとても古いヴィンテージのシャネルだったりします。
雑誌から出てくるようなパリジェンヌなんて、パリにもう8年住んでいますが未だお目にかかったことなどないですし、パリで生まれ育った友達たちがその雑誌を見て「なにこれ?え?パリにいるの?こんなの」レベルです。作り物の世界ということです。みんな普通は、ザラとかマンゴです。また、ザラは日本の店舗では高いですが、同じものでもヨーロッパだともっと安いです。それが現実。
でも、憧れる、ということはとても素敵なこと。だって、それが励みや、力になると思うのです。
パリジェンヌは、基本、エフォートレスがかっこいい、と皆口にするようで。冷静に見ると、日本の女性の方が100倍オシャレなのですが、パリジェンヌがかっこいいというイメージを持たれるのは、彼女たちがエフォートレス、だからだそう。頑張ってない、のがかっこいいそうです。オシャレは頑張ってます、というのが見えると途端にダサくなります。悪口ではないのですが、アジアの人が流行りのグッチを全身で着てても微妙なのは、頑張ってます感がありありだからだと思います。ファッションにおいては、頑張ってはいけないのです。正確には、頑張るけど、その頑張ってるのがバレてはいけないということ。また、メンズっぽいジャケットを羽織る、おっさんみたいな(あくまで、みたいな、です)靴を履くなどどこかマニッシュにすると、一気にパリジェンヌぽさが出ます。
2 パリで流行ってるブランドは?
ブランドにこだわらなくても、可愛い服はいっぱいあるのですが、パリジェンヌに流行ってるの、(というか皆が着てるの)なら、ファストファッションのザラやマンゴです。パリに来るリッチな外国からの観光客に流行ってるのは、ここ数年ずっとバレンシアガ、グッチ、サンローランという感じ。言わずもがな、観光客にとって鉄板別格はシャネル、LV、エルメスみたいです。いつもものすごい人だかりです。
パリジェンヌが憧れるブランドはやはりシャネルです。意外にもLV(ルイヴィトン)はおばあちゃんが持つもの、という認識がフランス人には根強いです。それを懸念して、LVはストリート系のデザイナーを起用したりして、ずっと若返りを測ってますが、フランス人は「変」と思っているようです。基本、年配の方のブランドというイメージがまだ拭えてないかも。若い子に聞くと、えー、ルイヴィトンはおばあちゃんが持つものじゃん、と大抵言われます。
シャネルに関しては熱烈に憧れているようです。ただし、若い子が買えるものではない、という風に捉え、もっぱらヴィンテージのシャネルが人気だと聞きます。実際、ヴィンテージを持ってる人がほとんどです。
3 ジェイさんがオススメするパリに行く際のオシャレは?
今の時期なら、防寒ありきですが、ご年齢に関係なくダウンはやめた方がいいと思います。
少しオーバーサイズの肩が落ちたような厚手のウールコートに、シルエットの綺麗なパンツ、ウォーム感のあるボリュームマフラーをぐるぐると巻いて、足元はスニーカーまたは歩きやすいショートブーツ。バッグは必ず斜めがけでコートの下に、とか防犯もできてオススメです。つまり、ふつーのかっこ。
4 オシャレでマストハブ、なアイテムは?
絶対必要なものは人によって全然、違うと思います。僕の場合は、5つ。
1ツイードジャケット (これがないと困ります)
2素材感がよくてシルエットの綺麗なコート
3サイズぴったりのパンツ(土台です。ボトムスで失敗すると全身がダメになります)
4美しい靴(最近は、美しくてはき心地のいい靴ですが)
5フラップバッグ(年齢とともに、時代とともに、大きなバッグが持てなくなって、最近は一番小さいサイズの、斜めがけするタイプで生きてます)
です。自分のマストハブが見えると、自分のスタイルがわかる、ということでもあるので、一度自分にとってオシャレに絶対必要な5つは何か、と考えてみるといいと思います。
僕はこの5つが、なんと20年前から全然変わってません。ずっとこのままです。つまり20年前から基本同じ格好、スタイルなんです。フラップバッグも20年くらい前に贈っていただいた物を未だに使ってます。時々ブティックで金具の修理とかしましたが。だからこれ5つがもう僕のスタイルだと思ってます。基本ダメになってきたら同じようなものを買い直すだけなので、着慣れていることと、迷わなくていいので、すごく楽でもあります。ま、生きた化石になってる感がなきにしもあらずですけど。ちーん。
5 お金を貯めて、パリに行くのですが、せっかくなので一生に一度とパリのブランド物を買ってみたい。何がいいですか?
これはもう、フランスのブランドということですね。パリに来てイタリアのブランド買っても仕方ないし。ちーん。僕はパリのブランド店で買い物などはしないタイプなのですが、ブランド品が欲しいとおっしゃるなら、そうですね、僕が思うにですね。
20代ということなので、予算的にもお財布バッグとかがいいように思えます。バッグに比べて格段に買いやすい(それでも高いのですが)ので、ドキドキしないでゆっくり選べると思います。チェーンウォレットと呼ばれるタイプの、ストラップ付きのの財布ですね。収納力はないのですが、これがまあ、便利。使える使える、というアイテムです。カードと小銭と携帯と鍵、ぐらいならこれでどこでも出かけられますから、持っておいて損はないです。財布とバッグのちょうど中間。ブランドでの初めてのお買い物ということですし、財布じゃ物足りないけど、バッグを買う勇気がまだない、という場合もチェーンウォレットならいけそうです。
パリのブランドもどこでも作ってると思います。ご自身のスタイルにぴったりとする物を、ぜひこの機会に探されてくださいね。また、せっかくなので、デパート内のではなく、路面店に行ってくださいね。ちゃんとした接客で買い物を楽しむのも、醍醐味です。まあ、観光客が押し寄せてるため、ブランドによってはかなり待たされるかもですが。
写真は、その20年ほど前にプレゼントされてから、まだ使ってるという僕のバッグと、僕の旦那ミザエルのリックです。銀座でお茶しながらふとなんか、お互いのキャラが出てて、可愛いなぁと写真に撮っときました。なんか僕とミザエルが並んでるようですね。自分の物には、やはり顔があると思います。一つ一つ、厳選したものをしっかり使いたいです。まるで自分の顔するくらい、使い倒す。
使い倒す、って、パリらしいと思います。いいものは、使わないと。好きなものは古くなってもなお美しいです。傷も変色も味のうち、というか、歴史というか。僕は物はピカピカの新品はあまり魅力を感じないというか、さほど美しいと思えません。使い込んだものがより美しいと思います。
以上、オシャレの回答でした。