服を着るのが楽しい季節になって来ました。
春夏は本当につまらない。せいぜいカットソーしか着れんやろ、がすぎ、冬に向かうとやれジャケットだ、コートだ、とか着れる季節になるのです。
僕はよくブログでもコート好きだと言ってますが本当に好きなんです。別に買わなくても、コートが街のウインドーを飾る季節になるだけでドキドキします。眺めてるだけで、幸せです。
コートというのはその面積が広い為、そのままその人の印象を決めてしまう強いアイテムです。自分をどう魅せたいのか、によってそのチョイスは決まり、その選択肢もかなり幅広くて面白い。デザイナーやパタンナーの腕の見せ所でもあります。いいコートだと、うーん、そうきたか、みたいな驚きもあります。
ゴージャスに魅せたいなら、フルレングスの毛皮(今時、着てる人いないでしょうけど)会社員らしく見せたければベージュのトレンチコート。(昔はトレンチはおしゃれさんの代表格で、パリジェンヌのイメージの象徴でもあったのですが、今は時代が代わり、着てると就職活動中の学生さんか、会社勤めのOLさんらしくなれます)チェスター、Pコート、モッズコートにステンカラーコートにダッフルなど。またショートなのかロングなのか、Aラインなのかラグランなのか、可愛い系でいくのか、かっこいい系でいくのかなども全てコートのチョイス一つで決められます。そうです、自分を魅せることが強烈にできるアイテムなんです。
僕の憧れは、オーバーサイズのコートをざっくりと着られること。でも僕には似合わないので無理ですが。だから全部、結局タイトなシルエットのものばかり。中に厚手のものなんか着れません。雑誌でよくあるような、中にジャケットとかダウンとか色々重ね着して、オーバーサイズのコートをざっくり着てるのとかかっこいいと思うけど、じゃあ、室内で全部あれ脱がないといけないのか、カフェでそんな全部どこに置こう?コートだけ脱いでも下にジャケットやらダウン、シャツ、またはセーターなど重ねてたら、ヨーロッパだと暖房がきいてる為、室内では拷問だよな、とか現実的なことも考えてしまう。ヨーロッパだと、皆厚手のアウターに中ティシャツ、だったりします。だから日本のスタイリストさんたちがよくやるレイヤード、とかいうのは全く現実的ではありません。かっこいいけど、無理。でもいつかは、せめて僕が着られるようなオーバーサイズのコートが見つかればいいなぁと思ってます。
そう言えば、パリでももう、動物愛護の問題でリアルファーはほとんどみなさん、着れなくなってます。うんと年齢の高い、マダムだけかろうじて許される感じ。逆に、世界的にエコファーのコートが今年流行りだとか、業界は言って売ろうとしてますが、エコファーって、全然エコではありません。化学繊維の塊というか。しかも安いものは特にその繊維のほとんどは再生不可能で、また土にも戻らないとか。しかも生産の際、染色やらなんやらでかなりの薬品を使って製造します。それらは全て海に流れることでしょう。また耐久年数も短い。で、どこがエコ?と突っ込みたくなるのですが。環境保護だとか、動物愛護の精神は素晴らしいことですが、リアルファーを着てる人めがけて生卵ぶつけてる暇があるなら、もっと他に突っ込むところがあるやん?と思う僕です。それに生卵をぶつけられたファーは、洗えずそのまま処分になったら、そのために亡くなった命が余計にかわいそう。そのうち彼らは、ウールもだめ、とか言い出すのでしょうか。余談になりますが、動物大好き、犬も猫も飼ってるの!とおっしゃる方の趣味が熊狩り(クマを銃で撃ち殺すこと)だったりすると、ほんとびっくり通り越して、僕の思考回路が止まりますー。クマって、動物じゃなかった???
さて、話戻して。
年齢も重ねると、数年でコートをとっかえひっかえよりも、一枚のいいコートを長く手入れしながら、丁寧に着たいなと僕は思っています。コートの扱いは、自分自身の扱いでもあります。雑に扱っては、いけないと思います。それと人は高価なものを丁寧に扱う、という傾向があるようです。すると丁寧に扱われたければ、それなりの身なりじゃなきゃダメという現実でもあります。ヨーロッパでは階級社会なので、特にそう。また、安いコートだと、どうせ安いし、汚れても別に、という気持ちがコートに対する扱いに出て、それが結果ご自身の立ち振る舞いに無意識に影響し、傍目には雑に見えてる、という風になっているかもしれません。例えば高価な着物をきてる時、雑に振る舞う女性はいないと思います。とはいえ、コートに出せる値段は人それぞれ。1万円まで、という方もいるし、5万までかな、という方も。10万。20万、もしくは100万程度は、という方もいます。だから別に値札つけて歩くわけじゃないので、必ずしも本当に値段が高価なものである必要はありません。ご自身の中で、これは最高、でいいのです。
また、いいコートが一枚あれば、他がいらないので、あれこれコート買わなくて、結果的にエコ、であり、資源保護や環境問題に向き合ってるし、結局経済的、ということにもなります。
ヨーロッパでは、環境問題を声高に叫んでる人たちが、洋服の製造工程に置いて、様々な公害と環境汚染を世界中で巻き起こして裁判沙汰になってる大きなファストファッション企業の安い服を全身で着てたりするのですが。なんで???とツッコミたくなるというか、もはや呆れます。環境問題を叫びながら、環境を壊してる企業を応援してるじゃん。しかもそれに気づいてない。最悪です。声を上げることだけで、自分は正しい!と酔ってる感じが。酔う前にもっと、勉強してほしい。声を上げるということはすごく大切で、いいことでもあるのに、そのいいこと、をそれらの人のため単なる不快なことに変えてしまう場合もあると思います。
おしゃれしながら、静かに環境保護に向き合うことは可能です。別に誰かをアタックしなくても、声高に叫ばずとも。
大人のおしゃれって、ただ闇雲に買い漁るのではないので、そうゆう静かに総合的に考えるところも大事だと僕は思います。