パリに暮らし始めてから7年ほどです。最初はまさか自分がパリに住むとは思っていませんでした。ストックホルムだろうな、と思っていたのですから。
それがある偶然から、こちらに来ることになり、空港に降りた瞬間に、なぜか懐かしさが込み上げて来ました。パリに着いた瞬間に、あれ、帰って来た、と感じた僕は、すぐに住むと決め、住むところを探しました。
あの時の直感は、全く間違ってなかったのです。あれから僕の人生は、大きく変わりました。パリは、観光には最高です。ただし、住むとなると相当の覚悟と忍耐、努力が必要。東京の比でない家賃や物価の高さももちろんですが、行政もサーピスも何もかも、日本では考えられないのがこちらの常識です。パリの人は、愚痴を言ってばかりいる、というのはある意味、本当です。ただ、女性誌で取り上げられてるパリジャンやパリジェンヌ、は全くの作り物ですが。パリの人は生きるのにカツカツで、あんな夢のようなおしゃれや生活してる人は稀です。大抵、スナップ写真の素敵なパリジェンヌ、とやらの職業が弁護士、やデザイナー、となっているのはそうゆう人たちをコーディネーターが日本の雑誌社の依頼を受けて集めてその日にその場所におしゃれして来てもらって写真パチリ、なだけです。
それはそうと、パリの魅力、はですね、やはり圧倒的な芸術の街、というところ。美しいものが溢れています。もちろん、路上のゴミや犬の糞などがひどいので、その手の美しさを求められると違うのですが。建物や、街並み、そこに存在するものの美しさは何度見ても飽きない。またそれを守ろうとする美意識も、並ではありません。芸術家が憧れる街、と昔も今も言われるのは、大きくうなずけるところです。
最近、日本の観光客の方が随分減りました。ほとんど韓国と中国の方です。ものすごい数が、パリにいらっしゃいますが、日本の観光客は探さないと、という感じになりました。昔は溢れていたのですが、テロ以降、グッと減りました。それでもパリにいらっしゃったら是非、何もしない、ことを楽しまれてください。エッフェル塔、シャンゼリゼ!!とはやる気持ちもわかるのですが、一日だけでも何もしないで、ぷらぷら歩いてるだけで十分な街です。公園のベンチに座って、本を読んでみる、とか、考え事をするとか、最高だと思います。
東京にいると、忙しさ、に追われて、しまいにはそんなに忙しくないのに忙しいように感じてしまう自分に、ハッとすることがあります。土日になったら仕事しない、パリでは当たり前のことなのに、日本にいるとズルズル仕事してる自分。それはそれで好きなのですが、愛する誰かと一緒に、または一人でぼーっとするあの時間を、今後はもっともっと、大事にしようと思っています。
僕は今仕事で日本ですが、来月はパリに帰ります。雨の季節になるのですが、それはそれで楽しみ。今回は僕のクライアントが日本と韓国からいらっしゃるので、僕の好きなパリを案内しようと楽しみにしています。