雨が雪に変わる時

February 14th, 2014

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ハッピーヴァレンタイン。

温かいショコラショーと、おいしいバケット。

それ以上は、いらない。

パリは月曜日からずっと雨。

東京は今、すごい雪。

僕が東京に出て来た頃、文字通りお金も、友達も、知り合いも誰もいなかったから何もない上、ひとりぼっちだった。
幸い僕がパリに出て来た頃は、僕の友達たちがパリにいたし、食べるに困らない程度のお金も持ち合わせていた。

東京に出て来た頃、家賃が高くて、結局僕は神奈川県で安いアパートを見つけて暮らし始めた。
今考えても、よく住んだなぁ、という環境だった。つまり、環境は最悪。工場や車の匂いしか、覚えていない。
古くて小さな、アパートの1階だった。日当りも悪いため、建物自体から、変な匂いがしていた。
初日の所持金なんか数千円を切っていたっけ。どうやって1ヶ月暮らせるのかな、と途方に暮れる余裕もなくて、ただ必死で仕事を探していたっけ。

パリに出て来た時は、安全で、しっかりとしたアパートを見つけた。
2度とあんな思いは嫌だ、と思っていたから、ちゃんとしたアパートを見つける事、は僕には譲れなかった。

それ以外で僕が求めた物はない。

雨が雪に変わる時、僕はすごくすごく胸がきゅんとする。

はじめてパリに降り立った当時を、あの時の匂い、感覚を髪の毛の先まで思い出す事ができるから。

なんて事無いシンプルなバゲットと、温かいカフェ。
ささやかだけど、今の僕に許せる最高の贅沢。

日本で、東京に上京して来た当時も、あのアパートで最初に作った料理はポトフで、それと一本のバケットだったっけ。

必死で何十年も仕事して来たのに、僕は、悲しいかな、何ももっていないけれど。

それでも、僕は、僕の人生は、間違ってはいない、そう思う。