ものづくり

October 29th, 2010

急に寒くなりましたね。

街を歩けば、もう冬物コートを着ている人も普通に見かけるようになりました。ロンドンにいるジェイクからも、寒くなってきたと言う電話が。

ロンドンはいつも天気は悪いそうで。というか、天気が悪いのが普通、らしくて。いつも曇っている上に、小雨が多いらしく。晴れた日なんか忘れてしまいそうだと。でも誰も傘などはささないらしくて、みんなコートで雨をよける感覚なのでしょうか。

ジェイクは冬でもティシャツでいたような男なので、コートなんか持っていないと思い、先日、コートを買ってイギリスへ送ってあげました。

僕はコートが大好きです。衣食住に対するこだわりが職業になっているくらい強いので、コートなどを買うときもちょっとやそっとじゃ買いません。で、買ったら10年は着ています。世間の流行は毎年変わりますけれど、幸い、僕のコートは奇跡的に?ずれてません。それは最初に、ものすごーく考えて買ったからだと思います。でもそれ以上に、やっぱり作り手が生地に、デザインに、着心地にすごく考えていたからだと思います。お互いにいい出会いだったのでしょう。

僕は実際、自分が気に入ったいい商品をテレビなどでご紹介させていただくことが多いのですが、メーカーサイドや業界側から集まってくる情報は半端でないとは認めますけれど、結局自分自身の買い物の経験から学んできたことは多いのです。

コートを例にすると、どんなコートでも旬、というのはあります。それが今年限りの流行テイストのものもあれば、3年は着られる物も。いいものであれば5年はゆうに超えるでしょう。でもさすがに10年を超えるコートと言うのは、驚異的だと思います。

実際定番と呼ばれるようなトレンチコートも、毎年微妙に進化しています。ずっと変わらないわけではなく、いつも変わり続けてるから定番と呼ばれるのでしょう。そもそも定番、という表現自体、微妙ですが。僕の定番が、人様の定番とは限らないわけですから。それはさておき、10年を超えられるコートを実際手に入れたとき、そしてそれを着込んだことでわかった、納得できた、発見したこと、というのがたくさんあります。

そういう「すごいな」と自分が身をもって感じたこと、感動したこと、得したことを、実際自分が人様にご紹介させていただく商品を選ぶときや、プロデュースさせていただく際に総動員しているわけです。

コートの話に戻ると、僕が持っているコートは、たったの2枚です。

黒と、紺。もっと持っていそうなイメージかとは(?)思いますが、2枚だけ。コートを選ぶときのポイントは、女性が特に気にされる細く見えるかうんぬんではなく、それよりも大事なのは、ずばり生地です。あれだけ面積をとるわけですから、コート一枚で自分を表現するに耐えるクオリティでなければまとってはいけないと思います。デザインがどんなによくても、生地が安っぽいと、悲しいかな着ているご本人様がお安く見えてしまう、という厳しい現実があります。このことは本当に今まで、ブログでもそうですが、何度も申し上げてきた記憶があります。

最近の景気を反映してか、ここのところはファストファッションと呼ばれるチープな洋服が街を圧巻しています。チープな洋服が悪いわけではありません。それは個人の選択なのですから。ただし、それなりの服は、それなりです。それ以上ではありません。女性誌などで、チープなものと、ラグジュアリーブランドをミックスさせての提案が広がっていますが、あれをして耐えうるのは、もうそれこそ桁違いの暮らしをされるごくごく一部の方々のみです。普通にまねすると、見れば一目瞭然。ああ、残念、という結果にしか見えてません。だからこそ、雑誌に踊らされず自分が手に入れられる範囲内で、一番よいものを丁寧に選び、大切にする。そうゆう姿勢こそ、女性を本当に美しくするんだと思います。チープな価格で一冬限りと購入したコートを、大切に扱うとはとうてい思えませんし。

ジェイクのコートを選んでいて、いろんなメーカーやブランドを比較して検討していたなかで、そんなことを考えました。

ものを大切にする。

そんなあたりまえのことが、少しむずかしくなっているのか、忘れられているのか、今の日本の消費傾向を見ていて気になる僕であります。自分のできる範囲で、精一杯の買い物基準をお伝えしてゆければな、と思っています。